腰痛発生のメカニズム
腰痛は急に起きるものではありません。
たとえギックリ腰であっても同じです。
(事故や怪我などの特殊な場合を除きますが)
何故なら、腰痛は、日常生活での様々な要因により、時間的・病変的変化を経て「腰痛」に発展していくからです。
人の体は、個人個人の身体的特徴と日常の生活習慣などの負担の積み重ねによって変化が起こります。
腰痛が起きる一例をみてみましょう。
第一段階 「疲れ」
人は日々生活のために活動しています。
通勤電車に揺られ職場に行く、営業で長時間運転する、家事や育児で忙しく動き回る、立つ、座る、歩く…などなど。
毎日頑張った分、疲れてきます。
そもそも「疲労」とは生理作用が機能している証拠。身体が休みたいから疲れると考えるべきです。
この時点では、休養やストレッチなど自分自身でケアしていけば何も問題ない状態です。
第二段階 「蓄積疲労」
ちゃんと休養して日々の疲れを取らないと、疲労は蓄積されていきます。
疲労の蓄積は筋肉を衰えさせます。
また、必要以上に動かさないでいても筋肉はどんどん衰えてきます。
ある筋肉が衰えてくると、そこをかばうようになるので筋肉の衰えが速くなり、だるさや痛みがあれば余計に使わなくなります。
使わないからますます衰えてきます。
「動かすのがだるい」、「一日の疲れが抜けない」など、身体に感じる現象として現れます。
第三段階 「腰痛」
疲労を取らず、筋肉の衰えが進むと、硬くなって筋張ってきます。
筋肉の収縮運動が弱く、十分伸びない・縮まないなど、上手く出来なくなってしまいます。
「伸筋」と「屈筋」の筋出力バランスが狂ってきます。
「アウターマッスル」と「インナーマッスル」の機能バランスが崩れてきます。
こうなると休養だけではなかなか元に戻りません。
身体には、「腰がだるい」「鈍痛がある」「通勤中に痛くなってくる」「朝起きると腰が痛い」「イスに座っていると痛くなる」といった、いわゆる「腰痛」の諸症状が現れてきます。
第四段階 「ひどい腰痛」
現状を放置し、筋肉の衰えがさらに進むと、「常に腰が痛い」、「長時間立っていられない」、「座っていられない」、「腰を捻ると痛い」という「ひどい腰痛」になってしまいます。
この状態になると、骨盤が変位していることが考えられます。
縮んだ筋肉に引っ張られて、骨盤の位置がずれ、姿勢が変化して、構造的な腰痛を引き起こしています。
マッサージなどで腰を揉んでも指圧してもすぐに痛みがぶり返してしまいます。
姿勢の変化が常に腰に負担を掛けているからです。
腰痛がひどくなっていく過程の一例を述べてきました。
初期段階でのケアや、身体の自然な動きがきちんと出来るようにすることが、腰痛対策として大切なことがお分かりいただけたでしょうか。
他にもスポーツ等による偏った身体の使い方でも起こり得ますが、いずれにしても、いきなり「ひどい腰痛」にはならないと言う事です。(事故などを除いて)
整体を受けると筋肉中の疲労物質は流されて体が軽くなります。
しかし自分自身の力で疲労物質を洗い流す能力、自然治癒力を回復させておかないと、しばらくすると元の悪い状態に戻ってしまいます。
「腰痛を治す・完治する」のには、
腰痛の直接原因だけを考えるのではなく、
「何がどのようにしてこうなったのか?」を考え、
「痛みを取る」だけではなく
「痛みが出ない身体に変化させる」ことが、不可欠な要素なのです。